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Research Results 研究成果

マイクロ波フロー反応装置による糖の触媒的加水分解

~マイクロ波磁场フロー反応によるスルホン化活性炭触媒の活性向上~
农学研究院
椿 俊太郎 准教授
2025.01.07
研究成果Environment & Sustainability

ポイント

  • 持続可能な化学产业の実现に向けてバイオマスなどの有机资源の有効利用が望まれる
  • 电场/磁场分离したマイクロ波*1照射下でスルホン化活性炭触媒を用いたフロー反応*2を行い、糖类の高効率な加水分解法を达成した
  • リグノセルロースや食品廃弃物などの有机炭素资源の有効活用や、フロー合成反応の効率化に贡献する

概要

カーボンニュートラルな化学产业の実现にむけて、生物由来の炭素资源の利用の促进は欠かせません。セルロースを始めとする糖は地球上に豊富な炭素资源として、有効な利用が望まれています。再利用可能で中和を必要としない固体酸触媒*3は、环境に调和した糖锁の加水分解に有効です。中でも、スルホン化活性炭はバイオマス由来の炭素を原料とし、贵金属を使用しない利点を有しています。しかし、均一系の酸触媒と比较して、固体酸触媒による加水分解反応は活性が低く、バッチ式オートクレーブによる高温かつ长时间の水热反応が必要とされてきました。

九州大学大学院农学研究院の椿俊太郎 准教授、富士電波工機株式会社の仙田和章 氏、高知大学の恩田歩武 准教授、沖縄工業高等専門学校藤井 知 教授の研究グループは、マイクロ波とフロー反応を組み合わせ、効率的な糖の加水分解反応を確立しました。マイクロ波の電場と磁場の空間的な分離により、効率的にスルホン化活性炭触媒の充填層を加熱することができる、フロー触媒反応装置を開発しました。導電性に優れたスルホン化活性炭*4は、マイクロ波磁场による诱导加热*5によって高选択的に加热され、これによりセロビオースからグルコースを高収率かつ连続的に得ることに成功しました。

本研究成果はAmerican Chemical Societyの「ACS Sustainable Engineering and Chemistry」誌に2024年12月16日(月)(日本時間)にオンライン掲載されるとともに、Supplementary Coverに選ばれました。

研究者からひとこと

マイクロ波フロー反応による、スルホン化活性炭によるセロビオースの加水分解活性の向上

マイクロ波は空间を伝搬して、固体触媒に直接エネルギーを与えることで、反応が加速します。これにより、反応器や反応溶媒を透过して、反応が进む固体触媒を高选択的に加热することができます。本研究では、マイクロ波の磁场を用いることで、マイクロ波が水溶媒を透过してスルホン化活性炭を直接加热し、かつ、连続的に触媒反応することで、低消费エネルギー化と反応効率の向上を达成しました。

用语解説

(※1) マイクロ波
周波数が300 MHz~30 GHzの電磁波の一種で、通信(携帯電話、WiFiなど)やレーダーとして広く利用される。2.45 GHzや5.8 GHz の特定の周波数は、家庭用電子レンジや産業用加熱装置としても利用される。

(※2) フロー反応
従来のフラスコやオートクレーブで行う反応(バッチ反応)は、生产性の観点で长い反応时间や、操作の烦雑さ、エネルギー効率などの改善が求められる。フロー反応では、短时间で连続的に目的生成物を得ることできるため、生产効率の向上が期待できる。

 (※3) 固体酸触媒
従来の硫酸や塩酸などの均一系の酸触媒は、反応后に中和が必要となり、廃弃物多くなる。固体酸触媒を用いることで、酸の中和が不要となり触媒を滤别(ろべつ)することで容易に分离回収し、再利用することができる。

 (※4) スルホン化活性炭
固体酸触媒の一种。硫酸で活性炭を処理することで、活性炭に强酸性のスルホン酸基(ー厂翱3贬)を结合した触媒。セルロースなどの加水分解に有効。贵金属を用いず安価に製造することができる。

 (※5) 誘導加熱
金属や炭素などの导体に磁场を与え、表面に生じる涡电流を生じ、ジュール加热が生じる现象。

论文情报

掲載誌:ACS Sustainable Engineering and Chemistry
タイトル:Efficient Cellobiose Hydrolysis over Sulfonated Carbon Catalyst in a Spatially Separated Microwave Electric- and Magnetic-Field Flow Reactor
著者名:Shuntaro Tsubaki, Kazuaki Senda, Ayumu Onda, Satoshi Fujii
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